信長、蘇生せよ、この悲観の中に
しかし胸のつかえが少し下りたのか、ほっとした表情へと変わって行く。
そして高見沢も、この歴史の因縁に感慨深いものを感じている。
「そうだったのか、本能寺の変は、全員で仕組まれたゲーム … 群衆見守る中で、信長が生き残るか、それとも朝廷/公家が生き残れるのか、今風に言うと、国盗りサドンデス・ゲーム(突然死試合)だったのか、これって面白くって、震えが来るよなあ」
奈美も感じ入ってるのか、仄かに頬をピンクに染めている。
「ホントよね、光秀がゴールへと蹴ったボール、だけどキーパーの信長君、光秀にシュートさせておいて、そこから反転攻勢する計略だったのでしょ、だけど、自分で転んでしまったんだよねえ」
これに信長は「うーん」と重く唸る。
さらに奈美が理解したところを続けて来る。
「そんなゲームの流れをスタンドで見ていたのが家康と秀吉でしょ、今がチャンス到来かと、秀吉はスタンドから下りて来た、そして試合疲れをしている光秀を叩いてしまったということなのね」
奈美は一人納得している。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊