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信長、蘇生せよ、この悲観の中に

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何はともあれ軍資金が必要。

「わあー、楽しいわ、高見沢さんと私、それと歴史から蘇った信長君と三人で安土城へ行くのね、それで埋もれている埋蔵金を探し出して、掘り起こすのね、めっちゃ最高だわ、ねえ、誓い合いましょうよ、他の人達には絶対秘密って」
奈美は一転、もうピクニック気分。

「もちろん、三人の秘密に決まってるよ、なあ信長」
高見沢は確認を取ろうと信長の方へ振り返ってみる。

すると意外にも信長は涙ぐんでいるのだ。
そして突然、涙声で唸り出す。


思へばこの世は常の住み家にあらず
草葉に置く白露、水に宿る月よりなほあやし

金谷(きんこく)に花を詠じ、榮花は先立つて無常の風に誘はるる
南楼の月を弄(もてあそ)ぶ輩(ともがら)も 月に先立つて有為(うい)の雲にかくれり

人間五十年
下天(げてん)の内をくらぶれば、夢まぼろしのごとくなり

一度(ひとたび)生(しよう)を享(う)け、滅(めつ)せぬもののあるべきか
これを菩提の種(たね)と思ひ定めざらんは、口惜(くちお)しかりき次第ぞ


「そうよね、思へばこの世は常の住み家にあらず、草葉に置く白露、水に宿る月よりなほあやしだよね … 信長君の気持ち、何となくわかるわ、天下布武のための軍資金、天下統一は果たせず、四百年経ってから、平民の私達と一緒に掘りに行こうというのだもんねえ … カワイソー!」

信長の様子を見ていた奈美が、余計に傷付きそうなこんな同情の言葉を吐いてしまっている。