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信長、蘇生せよ、この悲観の中に

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高見沢も奈美も、唐突に信長から褒美という言葉が発せられたのを聞いて、驚愕。

「えっホントか、御褒美をくれるってか、信長よ、お前、結構のん気なヤツだなあ、そんな金どこにあるんだよ?」
高見沢は信じられないという顔で、目を白黒させながら聞き返した。

しかし信長は、シレッとした表情で続けて来る。
「心配御無用じゃ、拙者は天下の親方様ぞ、安土城に、軍資金を埋めてある、それを掘り起こそうぞ」

「軍資金て? … 軍資金?」
高見沢と奈美はその言葉を繰り返した。

そして、奈美の顔が急にぱあっと花が咲いたように明るくなった。
現金なものだ。

「えっ、信長君、今アンタ何て言ったの? 軍資金? それって埋蔵金っていうこと? そんなのどこに隠し持ってたのよ、早く言いなさいよ、直ぐに掘りましょうよ」
奈美は悲鳴に近い声を上げている。

だが信長は、落ち着きはらって軽く話して来る。
「安土の城を造った時に、天下布武の実現のためには、莫大な軍資金が必要であろうと思ってなあ、蛇石(じやいし)の下の石蔵に、金塊を保管しておる、要は蛇石じゃ」

信長からの意外な話しの展開に、二人は狐につままれたような顔付きに。

「安土城の蛇石ってか、どこかで聞いたことあるよなあ … 確か築城の時、百五十人の作業員が下敷きになったと言い伝えられてる、とてつもなくデカイ石のことか?」

「高殿、よく存じておるなあ、しかし、ちょっと百五十人とは大袈裟じゃ」