信長、蘇生せよ、この悲観の中に
そしてすぐに答えが見つかったのか、自信満々に答えて来るのだ。
「過去からの古い慣習を破り、新しい日本へと変革した人物ね、そうね、一番は織田信長、二番目は坂本龍馬でしょ、この間の雑誌にも載ってたけど、今、日本国民が最も欲しているリーダーは、この二人だって」
「ピンポーン、さすが奈美ちゃん、大正解で〜す、俺なあ、その一番人気で、戦国時代にあって大変革をやり遂げた覇者・織田信長に再登場してもらおうと思ってるんだけど」
高見沢は事ここに至って、とんでもないことを言い始めている。
「高見沢さん、アナタ、ホント中年ボケなの、織田信長なんて、四百年以上前に死んでしまっているのよ、どうして織田信長が現代に再登場出来るのよ」
奈美には、もうお話しにもならないという空気があからさまに漂っている。
しかし、高見沢は真剣な顔付きを崩さない。
「あのねえ、信長は、明智光秀の謀反で、一五八二年(天正十年)六月二日、本能寺で襲撃を受けたよね、そして燃え盛る炎の中で自害したという事に歴史上はなっているだろう、だけどね、その噂の、その身を自ら燃え尽きさせ、その亡骸をこの世から消滅させてしまったというのは、それは真実じゃないんだよ」
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊