信長、蘇生せよ、この悲観の中に
高見沢は、こんな奈美の可愛い我がまま気分がおさまるのを待って、本題へと話しを進めて行く。
「ところで奈美ちゃん、最近、本業の株の方、調子はどう?」
奈美はいきなり現実の世界に引き戻されたと感じたのか、少しムッとなる。
「良いわけないでしょ、IT銘柄も環境銘柄も、それにバイオもさっぱりよ、最近ポートフォリオの組みようがないのよねえ、ところで、高見沢さんの方はどうお?」
「俺もさっぱりだよ、餓死しそう」と、高見沢の表情も曇る。
すると奈美は、高見沢のその顔付きに煽られたのか、怒ったような表情となり、絶望的な事を話して来る。
「出口の見えない日本株式市場、やっぱりそれを打破する思い切った経済改革がないとダメね、新しいリーダーが現れるまでは、きっといつまで経ってもこんな調子なのよ、市場は二度と陽の目を見ない悲観相場よ、このままじゃ本当にみんな破綻するわね」
これを受けて、高見沢は胸に仕舞っていた改革への思いを述べ始める。
「その通りなんだよなあ、だから俺、実は決意したんだ、このままじゃ自己破滅だから、自分で日経平均株価を上げることにチャレンジしようってね、それで奈美ちゃんへのお願いは、それを手伝って欲しいということなんだけど」
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊