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信長、蘇生せよ、この悲観の中に

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「だけど、今日は嬉しい新発見でした、信長より秀吉を選ぶなんて、高見沢さんて割に冷静に人選する人なんですね、先輩、申し訳けございませんでした、見直しました、これからは、その目で私を御評価頂いて、今度の昇格人事に是非推薦して下さい」
榊原はまずは上司を持ち上げ、その後は自分を売り込んで来る。

それでも高見沢は、こんな榊原とのアホな会話に刺激されたのか、三十歳からの株式遊びで傷付いた心がまた疼き出す。
そして、思わず「うーん」と呻き声を上げ、「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢まぼろしのごとくなり」と声を落として、腹の底から絞り出すのだった。

そしてその後は、我関せずという風に黙り込んでしまう。

そんな時に、内ポケットのケイタイ電話がブルブルと震えた。
高見沢はさっと席を外し、ケイタイを取る。

「もし、もーし」と、いつもの口調。

「高見沢さん? 私、奈美よ」

久し振りに奈美から電話が掛かって来た。
「どうしたの?」と軽く返す。