小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

信長、蘇生せよ、この悲観の中に

INDEX|100ページ/111ページ|

次のページ前のページ
 

「ねえ高見沢さん、何年後かに、本能寺の地下道を発掘したいという不埒(ふらち)なオッサンが、また現れるかもよ」

奈美は、湿った心をきっぱりと吹っ切るためなのか、会話がいつものように冗談ぽくなって来た。

そして、男はいつまでも未練がましい。
高見沢はそれを見せまいと直ぐに応える。
「何年か後に、またアホなヤツが出て来て、掘り起こすかもなあ、そうしたら奈美ちゃん大変だぞ、二十一世紀のクローン・織田信長が発掘されるのだからなあ、ホント奇妙なことになるだろうなあ」

「まっ、いいんじゃない、もう私達には関係ない事だものね」と、奈美には完全に元気が戻って来た。

女が「関係ない」と口にする時、すべてがその時に終わった事を意味する。
そして男は、それに無抵抗に同調してしまうのが常。
「そうだよな、もう関係ないよな」

さらに奈美は、「だけど骨の時代判定で、二十一世紀生存と鑑定結果が出たら、みんな慌てるでしょうね」と、自分の言葉に気分を乗せている。
これに高見沢は、「ホントだなあ、後の処理をどうするか、それはその人に任せよう」と奈美の語りに合わせて行く。

こうして二人とも、いつの間にか普段と変わらぬ無責任なことを言い出しているのだ。