信長、蘇生せよ、この悲観の中に
高見沢はそんな要望を耳にして、コテコテの関西弁で直ぐに返してしまう。
「あんなあ、奈美ちゃん、なんちゅう贅沢なことを言うオナゴはんなんや、高級丹波まったけを食べたいってか?」
「モチ、そうよ」と、奈美の意志は揺らがない。
「誠に申し訳ありませんが、椎茸の土瓶蒸しと、丹波栗の栗御飯で、本日のところは辛抱してくれない」
高見沢は、丹波まったけといういきなりの要求にびくついてしまっている。
「なによ、ドケチね、東京からわざわざ出て来て上げたのよ、まだ女性を理解していないのね、女性の永遠のテーマは何か知ってるの?」
奈美がきつい調子で尋ねて来る。
高見沢はその勢いに負けて、「ううう、女性の永遠のテーマね、それは男か?」と答えてしまった。
「それって完全に外れてるわ、男なんかどうでもいいのよ、答えは、ダイエットよ、高見沢さん、わかる? こんにゃくチャーハンよりもっと効く究極ダイエット、それは山の幸・まったけなの、特に丹波産が上質でね、味良し香り良し、ダイエットにも良い、そんなまったけをご馳走してもらえないのなら、私、何しに京都に出向いて来たのかわからないわ … もう東京へ帰る!」
奈美はプッツン来かけている。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊