魔物達の学園都市
伸ばされた手にふと気付き、俺はその優美で華奢な手を取った。
俺は、今の地上の事を何一つ知らない。なんか、成り行きで流されてるみたいな展開だけど、でも、この都市で暮らしていくうちに、きっと、他の人類の事も分かるだろう。
不安はある。でもこの都市を見て、俺は確信したんだ。
もう既にこの地上は、人類になり代わって魔物が支配する世界なんだって。
「だと、いいスけどね……」
春菜先生の真意が何かは分からないけれど、俺はひとまず、この人を信じてみようと思った。
何故かと言えば、それは――
「ううん、絶対そうなりますえっ!」
そう言って微笑う春菜先生。出逢ってからこれまで、この人の微笑みに、俺は嘘を感じない。それに彼女の娘リーユンも、無表情で何考えてるのかよく分かんないけど、初対面で俺をかばってくれたりもしたし、きっといいヤツなんだろうと思う。
――だから俺は、
今この瞬間に、
この、『魔物達の学園都市』の住人になった。