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魔物達の学園都市

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    ◆ ◆ ◆

 朧な世界に、俺が居る。
 地味で面白みのない、ただ白いだけの地下都市の壁。
 俺の手足は短くて、見上げる親父はデカかった。
 髭面で、筋肉質で、ちょっと腹の出っ張った親父。
 親父大袈裟な耐圧スーツを着込んでいて、そのクセ動きが速いんだ。そんな親父が、俺に古武術の稽古をつけてくれている。
 そんな俺達を、厚い耐圧ガラス越しに一人の老人が見つめていた。
 髭面なのは親父に似てるけど、親父を細くしてスケールダウンし、シワを増やしてついでに白髪にした感じだ。俺の親父の親父、つまりは俺のじっちゃん。
 そのじっちゃんが、スピーカー越しに怒鳴りつけてくる。
「良いか黎九郎! この訓練は、お前の力を増すためのものではない! 真面目にやるんじゃぞっ?」
 毎度毎度、じっちゃんの言ってる意味が良く分からない。俺の力を増すためのもんじゃないなら、じゃあ、何のためにこんな事やってんだよ? まぁ、楽しいからいいんだけどさ。
 すると今度は、親父が拳撃を繰り出しながら声を掛けてきた。
「なぁ黎、好きな女の子が現れたら、全力で守ってやるんだぞ? お前は男で、それができる力を持ってるんだからな」
 いや、女の子って言われてもさぁ……見た事ねーし、俺と何がどう違うのよ?
「あ、ちなみに、お前の本当の力はこのあと、なかなか使えんように封印するからの!」
 なんかこう、ムカつく宣言をされた気がする。
 じゃあ、その本当の力とやらは、どうしたら使えるようになるんだよ?
「親父殿、それじゃ分からんだろ! ちゃんと説明してやれよ!」
 じっちゃんの言葉を聞きとがめて、親父がヘルメット越しにそう叫ぶ。って、どうでもいいけど、なんで親父は耐圧スーツ着てんのに、俺は素手素足なワケ? 防御力違いすぎね?
「そうじゃな! ……あのなぁ黎九郎。お前は他の人間とはちっとばかし違っててな? 色々力が強いんじゃが、今のお前はちっちゃすぎて、それを上手く使えんのよ。
 そりゃすなわち、お前も困るし誰より周囲が迷惑するワケじゃ。じゃから、普段はその力が使えんようにしなきゃならん。せめて、お前が二十歳んなるまではな。まぁ心配するな。それに替わるものも、ちゃんと用意してあるから」
作品名:魔物達の学園都市 作家名:山下しんか