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はじめのちょこっと

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そういえば、食事も奮発しようといつもは行かない近寄りもしない所に行こうと思ったのに 店の前を通り過ぎることになった。
プレゼントをと、ジュエリーショップやアウトレットのブランド品を見たが、さりげなく店から消えた。
遊園地で豪遊とまでではないが入場券もそこそこするテーマパークは、(なんだったけ?)・・・。門前で引き返してしまった。
僕の思惑は、どれも不発も何も 始動すらしてない感じだった。

あれ? 今 僕と彼女、落ち葉舞う散歩道を歩いているではないか。デートらしくなってきた。
「私、ブスでしょ」
彼女は僕の横を歩きながら、控えめな澄んだ声で呟く。
僕は、驚いて足を止め、彼女に向き直り、大きく手で扇ぎ、訂正。手で否定しつつ思いっきり告げた。
「可愛いです」と。
「ソレは、どこ? 顔ですか?」
「み、みんなです」
「みんな? 可愛い子ならほかにだっているし それに私のお尻醜く垂れてますよ。脱いだら凄いですよ。癖だっていっぱい。家で裸で歩いてますよ。ご飯だってどんぶり飯ですよ。寝そべってテレビ見ますよ。それでもいいですか?」
(ほんと? まさか? でも こんなに可愛いのに僕に声をかけるんだから、マジ?!)
「僕は、今見ているところも、見えてないところがどうでも、貴女とお付き合いがしたい」
「うそ」
「僕のことだって、知らないことがあるはずなのに貴女は誘ってくれた。何故?」
「・・・話してみたかった。でもみんなと同じ。でも・・・」
「でも?」
「私のわがまま聞いてくれた。食事も素敵なショップも無理強いしなかった。嬉しかった」

作品名:はじめのちょこっと 作家名:甜茶