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昔の事―ざんがい―

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 つい、最近のことなんだ。
 教室棟への近道を考えている途中、走りすぎてなのかな、あんまりにも疲れちゃったから僕は近くにあった大きな木の下……ほら、あの一番大きな桜の木にね、休むことにしたんだ。

(暑いなあ……)

 その日は雲がぜんぜんない、晴れた日でさ。とにかくすごく暑かったんだ。それでもたまに吹く風が涼しくて、なんだかだんだん眠くなってきてさ、自分でも分かるくらい首がこう、こくこく前に揺らぐのが分かるんだよ。

(寝ちゃダメだ)
(まだお昼なのに)

 どうにか寝ないように頑張ってみたんだけど、やっぱり座ってると眠くなるから、もう移動しようと立ったんだ。そしたらね、僕、見たんだ。
 ……うーんと、“見た”っていうか視界に入っただけなんだけど。なんか僕の影のすぐ横にさ、木の葉の影の中から人の二つの足首から少し上の部分までの影がのびてたんだ。

(なんだ、これ?)

 最初は見間違いかなあと思ったんだけど、何回見てもそれは人の足の形をしている。風が吹くたびに小さくユラユラ揺れたんだ。
 だから僕はあわてて横を見た。

(あれ?)

 そうしたらそこにはなんにも無い。それでもまた影のほうを見たら、そこにはやっぱり足首みたいな影は映ってるんだよ。ねえ、おかしいでしょ? 周囲を見回しても、なあんにも無かったんだ。
 変だなって思ってると、急に首のあたりがおぞぞぞぞーって、いやあな寒気がしたから僕、走ってそこから逃げたんだ。

 これで話は終わりなんだけど……ねえ、本当に変な話でしょ?

作品名:昔の事―ざんがい― 作家名:狂言巡