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舞~紅と黄金~

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会社を定時で上がり、交番へと向かった。
(嘘がばれて、叱られるのかな。いやそんなことあるわけない)
入り交じる気持ちを抱えながら、交番の戸を開けた。
「すみません。連絡頂いたオトナシですが」
「はい、こちらへどうぞ。座って」
先日の警察官とは違う。その警察官はマチコに一礼した。
「私は、交代時間になりましたので、申し訳ないが、引き続きの者が説明しますから」
マチコは、何となく頷くとその警察官は奥へと入って行った。
代わりにマチコの前に現れたのは、マチコの嘘の原因を作った警察官だ。
「失礼します。書類を作って頂いてから心当たり、パトロール中、拾得物の届けなど探しましたが、まだそれらしい物はありません。引き続きされますか?」
「こういうのって打ち切りってあるんですか?」
警察官の視線に目が合わせられない。
「ご・・・めんなさい。私、ご迷惑かけました。ごめんなさい」
「困った方ですね」
(見透かされた?!)
「はい、これ」
その警察官が、マチコの前に差し出したのは、バッグに付けていたジュースのおまけのストラップ。マチコは気に入って付けていたのだが、あの夜、公園の男が警察官と分かった日の夜に何処かで失くしたものだった。
「私は、あの場所を離れるわけには行きませんでしたし、また見かけるかと思っていたのですが、ずっと会いませんでしたね。でもお返しできて良かった」
「ありがとう。ありがとうございます」
マチコは、ストラップをバッグに付けると少し笑みを浮かべた。

作品名:舞~紅と黄金~ 作家名:甜茶