洋ナシ体型のおっさん、落ちる!
第四話
<第4話>金持ちマダムと洋ナシオッサン
「まだかしら……」
私は自慢の真っ赤なオープンカーの中で、”あの人”がマンションから出てくるのを待っていた。
私は今日こそ、この熱い思いをあの人にぶつけてやろうと思い、ドキドキする胸を押さえながらここまできたの。
「はぁー……あれ?」
ため息をつき、何の気なしに上空を見上げると、屋上に洋ナシ体型のオッサンがいるのが見えた。そのオッサンはなぜか真っ黒な全身タイツを着ていて、とても気色が悪かった。
「ヴィーン」
マンションの扉が開く音が聞こえたので前方を見ると、そこには目的の”あの人”がいた。
「ついに来たわね……」
あの人は欠伸をしながら背を伸ばした。その姿を見た私の心臓は、もうドキドキで、はちきれそう。早くあの人にこの思いをぶつけよう、そう思ったとき、
「びょえぇえぇええええ~」
という奇声をあげながら、洋ナシオッサンが屋上から飛び降りた。
作品名:洋ナシ体型のおっさん、落ちる! 作家名:タコキ