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洋ナシ体型のおっさん、落ちる!

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第三話



<第三話>不幸男と殺し屋と洋ナシオッサン

「ピンポーン」

チャイムの音が聞こえた。おそらく、買出しに出かけた友達だろうと思い、僕は何の気なしに玄関の扉を開けた。

「あなた、見ましたね?」

 扉をあけるとそこには、血だらけの包丁を持った長身の男が立っていた。

「見ましたよね?残念ですが死んでください。」
「サク!!」

 包丁の刃が僕の右腕をかすめた。僕の右腕からうっすらと真紅の血がにじみ出てきた。

「うぁあああああ!!!」

 僕は身の危険を感じその長身の男から逃げるようにベランダへと駆け込んだ。しかし、ここはマンションの17階。到底、ベランダから逃げることはできない……僕はここで死ぬの? そんなの……嫌だ!! どうにか、どうにかしないと……

「ぼ、ぼくが何を見たっていうんですか!?」

 僕は力では勝てないと思い、言葉で説得しようと、震える声を吐き出した。

「とぼけても無駄です。あなた、望遠鏡で見ていましたよね? ちゃんと、望遠鏡のあった階を数えてきたんです。間違いありません。16階のこの部屋に住んでいるあなたは、私の犯行を目撃していた。だから殺します」

16階? ここは17階だぞ!! この人、間違えてるよ!!!

「こ、ここは17階です。16階じゃありません!! あ、あなた間違えていますよ!」

 僕は必至で叫んだ。

「……そうですか。教えていただきありがとうございます」

 長身の男はそう言うと包丁を下に向けた。……わかってくれたのだろうか?

 僕は長身の男が部屋から出て行くことを必至で祈った。しかし、僕の祈りは届かなかった。

「お礼に、あなたに選ばせてあげましょう。私の包丁で死ぬか、それともベランダから飛び降りて死ぬか。どちらか好きなほうを選んでください。貴重な情報を教えていただいたせめてものお礼です」

 結局僕は死ぬのですか!?

「さぁ、どちらにします? 包丁にしますか?」

 長身の男はそう言うと包丁の先を僕の方に向けて少しずつ歩み寄ってきた。

 このままじゃ、包丁で串刺しだ。

 それは嫌だ!!!!!

 でも、後は……

 僕は後ろを振り向き、ベランダから下を覗いた。




 …………無理だぁあああ!!! ここから落ちたら絶対に死ぬぅうう!! どうしたらいいんだぁああああ。

 僕がそんな風に絶望に打ちひしがれた瞬間、「びょえぇえぇええええ~」という奇妙な声が聞こえたので、僕は上空を見上げた。

 空から洋ナシ体型のオッサンが降ってきた。