洋ナシ体型のおっさん、落ちる!
第二話
<第二話>泥棒と洋ナシオッサン
「へへへ、大量大量」
俺は鼻歌交じりで、金目の物を風呂敷に詰め込んだ。
俺はいつもの様に高層マンションの23階の部屋に空き巣に入った。
とくに深い意味はないが、いつも高層マンションの23階に空き巣に入ると必ず成功する。いわゆる、ジンクスってやつだ。
「さてと、そろそろおいたましますか」
俺が丸々と膨らんだ風呂敷を背中にくくりつけ、部屋から出ようとしたとき、
「おじさん、だれ?」
急に目の前に小学校高学年くらいの子供が現れた。
しまった……誰もいないと思ったのに……まぁいい、相手は子供だ、逃げ切れるだろう。
「おじさん、もしかして、泥棒?」
俺は子供を無視して部屋からでようとした。その時、
「ぐはぁ!!」
スネに激痛が走った。
「やっぱり泥棒だな!! 悪いやつは許さないぞ!! 僕は空手を習っているんだ、負けないぞ!!」
下段、中段、上段とテンポよくとんでくるコブシ。俺は小学生相手に勝機を見出せず、思わずベランダに逃げた。
「こうなったらここから逃げるしかないな……」
用意周到な俺。こんなときのためにちゃんとロープを用意してあったのさ。さすが俺。
そんな風に小学生に負けたという現実を無視して俺は迅速にロープをベランダの格子にくくりつけ、下に降りようとした。
その時、「びょえぇえぇええええ~」と奇妙な声が聞こえたので反射的に上空を見た。
空から洋ナシ体型のオッサンが落ちてきた。
作品名:洋ナシ体型のおっさん、落ちる! 作家名:タコキ