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Da.sh

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 バイトをしながら高校を卒業した。
 学校では誰も話しかけようとしなくなった。クラスメートの俊介以外は。
 浜崎さんというのは俊介のバイク仲間だった。
 メカ好きの俊介はいつしかバイクからパソコンへと鞍替えした。今ではハッキングの腕を上げるのに生きがいを感じているらしい。競技会もあるそうだ。それから、声帯模写も得意ときている。

 越谷にある家はそのまま残している。
 千葉の流山市に住む、父のたったひとりの身内、妹である叔母一家が、家の維持管理を引き受けていた。金丸金属工業から受け取ったわずかのお金は、叔母に預けている。
 高校生の時は越谷でひとり暮らしをしていた。家を離れたくなかったのである。悪夢にうなされたとしても。真相を知りたかったのだ。
 親父の持ち物をひとつずつ調べた。時間をかけて。
 手帳に残されていた〔不正 部長〕と言う文字を見つけた。それで会社に、上層部にいる人に嵌められたのではないか、ということを確信した。
 
 叔母の強い勧めで大学に進学し、宇宙工学を学んだ。そしてジャクサに採用された。
 家を離れる時、
「お金は十分あるから、家はそのままにしとこうか」
という叔母に、すべてを任せることにした。ほんとは家計が豊かではないはずだと知っていたのに。

 叔母との連絡は、家に帰った時の置きメモだけによる。
 ジャクサを辞めた今、住所は教えていない。電話番号も元から伝えていない。
 
 そんな事を思いながら、守は眠りに落ちていた。
作品名:Da.sh 作家名:健忘真実