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Da.sh

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「経産省としましてはまだ極秘扱いではありますが、月資源開発に本腰を入れていくことに決定しております。月資源開発機構も立ち上げたばかりで、霞が関に机があるだけでして。2年後にジャクサ(JAXA)は月に向けて『かぐや』を打ち上げ、地質調査を計画しております。世界中が虎視眈々と月資源に狙いを付けているため、どこが一番乗りをするか、です。マスコミ発表もままならない状況なのです。しかし問題は、資本、です」
「そう、問題は資本、でしょうな。先立つものがなければ何事も進行しない」

「そこで経産省としましてはご賛同いただけそうな企業をピックアップしまして・・・いえ、必ずしも大企業が望ましいというわけではないのです。御社のような中堅の方が、いや失礼、御社ならフットワークが軽いであろうと。資金を捻出しやすいのでは、と考えております」
「わが社を選択されたのはご賢察ですな。たしかに私ひとりの思惑次第でいくらでも調達は可能です。たしか、10億、でしたな」
「出来れば現金で。換金の手間は省いておきたいと思いますので。試掘の為のロボットを開発しているのですが、資金不足で材料の調達にもたついているのです。今どき現金払いなどと思われるかもしれませんがね」

「月に眠っている鉱床のことは私どもで調べは付いています。役員会でも了承を得ました。採掘の権利を有することができると、初期投資などすぐに回収できるものと踏んでいます」
「やはり実際に月の上に立って現物を手にし、分析をするまではなんともいえないのですが。初期投資が無駄になる可能性もあるわけです」
「ハハハ、信頼できる筋の情報を調べましたから、まず大丈夫でしょう。それで、いつまでに」
「早ければ早いほど。そうしたら開発に早く取りかかれます。完成すればご覧に入れますよ。ただそれまでは公開できませんので」
「分かりました。現ナマで10億・・・3日で用意しておきましょう。あらためてお越し頂けますか。100キロの重さになるのでキャリーも用意しときますよ」
「ありがとうございます。必ず成功させますよ。では15日、4時頃でよろしいでしょうか」
作品名:Da.sh 作家名:健忘真実