Da.sh
守の顔から血の気が引き、ぶるぶると震えだした。
寒いのではない。怖いのでもない。怒りが、溶岩のように怒りが沸々とわき上がってきたのだ。
「どうやって・・検死では死んでから首をつったのではないことが判明している。生きてる親父の首にロープを巻きつけたのか? それも状況からあり得ないと考えられた」
「まあ、そういうことになるか。ブラックジャック、知ってるかな?」
「外科医だろ。もしくはトランプのゲーム」
「ハッハッハッハッ、素人は面白い。フフフフ簡単に作れる武器の一種だ。それで頭を殴りつけると、一時的に脳しんとうを起こさせるんだ。打ち付けた跡は残らない。ま、偽装殺人ではたいてい使われてる方法だろうな」
「で、それを教えてくれて、今から警察に自首する、ってことか」
動揺するどころか、対等に会話を交わしていることに、守は尊敬のまなざしを俊介に向けた。
その言葉を肯定する意味で首を数回縦に振った。
「その前に君たちも自殺するんだよ。手伝ってやるぜ。体に穴をあけることはできないが、痣ぐらいは構わんさ。海に飛び込み自殺をするんだからな」
水元は、拳銃を上着の内ポケットから取り出した。そして静かに続けた。
「だが、場合によっちゃ体に穴をあけることになる。金はどうした! どこにある!?」
「クソッ」
チンピラふたりはナイフを取り出して、ニヤツキながら刃の部分を左手に打ち付けている。