Da.sh
稲山会傘下の高見組若頭水元の報告を聞いた金丸は、10億の金を取り戻して、会社には戻さずに着服することを計画した。そして大賀渉と名乗った渡辺守はどこかで自殺してもらうことで、水元に指示を出していた。
13年前、金丸の指示を受けた稲山会の組員だった水元は、会社の指令で出勤を遅らせた渡辺が家を出たところを、後ろから頭を殴り付けて脳しんとうを起こさせ、くず折れたところを抱きとめてどこも傷つけることなく、痕跡も残さずに首つりの状態に持っていった。
ロープが首を締めつける直前に、渡辺は意識を取り戻したのである。
「ヤァ公に目を付けられてるってかよ」
「ああ、この目論見がばれてたってことだろ。付けてきてる車、分かるか?」
俊介は落ち着き払っていて、時々ミラーに目を配っていた。
「おれらが出た後に動き出した車がサイドミラーに映ってたけど・・」
と言いながら車線を変更した。
「どうやらホントらしいな・・・よしっ、環八に入るぞ、そこで撒く」
「渋滞に巻き込まれっぞ。やばいんじゃないの」
「まぁ、まかせとけ、って」