少女機械人形コーパス 第二幕
ウィィィン
<SE>
<背景ピアノホール>
黎苑
「美希、顔色が悪いわ。」
花立
「そぉ…かな?」
黎苑
「私の目は誤魔化せないわよ。」
花立
「あはは…。」
黎苑
「言いなさいよ。私は美希の事ならなんだって受け止めるわ。」
花立
「本当に大した事じゃないのよ。」
黎苑
「…本当に?」
花立
「うん、ホント。由加里にウソなんかつかないよ。」
黎苑
「…そう。」
花立
「ありがとね。」
黎苑
「…ねぇ、久しぶりに一緒に弾かない?」
花立
「しばらく弾いてないから、散々な音になるわよ。」
黎苑
「うふふ。ね、弾きましょう?」
<スチル二人でピアノ(SEは2台のピアノのためのソナタ (モーツァルト位?)>
二人の奏でるソナタがピアノホールに響き渡る。
黎苑
(やっぱり…美希は上手いな。)
黎苑
(昔からそう、美希は私よりずっとずっと優れていた。ピアノだって美希の方が上手かった。)
黎苑
「ごめんね、美希。」
花立
「え?」
黎苑
「美希は私の為にピアノやめたんだよね?」
花立
「何…言ってるの?」
黎苑
「私にはピアノしかないから。美希の方がずっとずっと上手かったのに。私からピアノを奪ったら、ただのCエリアの孤児だわ。そのままいけばFエリアに…。」
<二人はピアノ弾きっぱなし>
花立
「そんな事…。由加里の思い違いよ。」
黎苑
「うふふ。ありがとう、美希。」
花立
「由加里の才能の賜物じゃない。何言ってるのよ。」
黎苑
「…美希、パイロットって辛い?」
花立
「……辛いわ。」
黎苑
「代わってあげられたらいいのに。私に…パイロットとしての才能があれば良かったのに。」
花立
「由加里…。でもホント別にそんなすっごい辛いってわけでもないのよ?ほんの少し怖いだけよ。」
黎苑
「美希…。」
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文