少女機械人形コーパス 第二幕
第二幕 第五場 Beneficium accipere libertatem est vendere.
3月6日
午前11時28分
地底都市マヌス 中央エリア
黎苑由加里専用ピアノホール前
<ピアノの調べが聴こえる。>
花立
(昨日はヴィロネカートが襲撃してきたっていうのに、搭乗どころか作戦本部にさえ近づけなかった。)
花立
(何なのよ…東堂も重傷を負ったとかいうし…。そんなに危険な戦いだったというなら、私にだって何か出来る事があったかもしれないじゃない。)
花立
(…由加里の顔が見たくて来ちゃったけど。やっぱり迷惑だよね。由加里はマヌスのピアニストとして忙しいのに。)
黎苑
「………。」
<黎苑ピアノスチル>
花立
(治らないなぁ…。昔からいつも不安になるとこうして由加里のピアノが聞きたくなっちゃう。)
花立
(少しだけ、こうやって廊下で聞く位ならいいよね?邪魔はしないから…。)
花立
(由加里…。)
聞きなれたその音色に安堵を覚え、やがて花立はその場で眠ってしまった。
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文