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少女機械人形コーパス 第二幕

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<<二度も殺すの?>>
それは尾ヶ崎久美子の声。
<<私から知性を奪ったくせに、また殺すの?>>
聞きなれた理知的な声が辺りを支配する。

<お兄ちゃぁんっ!!>
愛しい妹の悲痛な叫びが重なる。
『楔の悪魔』の襲来以降、親を失い友を失い大地を追われた。
それでも彼の人生には妹がいた。愛すべき二人の妹が彼の人生の全てだった。二人の為に生きてきた。
東堂
「今…守らなくてどうするっていうんだよ…!」
震える声で吐き捨てる。双眸はヴィロネカートを睨みつける。
東堂
「一太刀だ…ほんの一太刀!」
右腕に力を込め刀を構え横に薙ぐ。その太刀筋は見事にヴィロネカートの首筋を捕えていた。
<<妹の為なら何してもいいの?>>
自分が犠牲にした二人の声が重なる。
東堂
「!!」
カタカタと音すら立てて震える刀。確実に捕えたはずの憎い敵の首筋をだが薙ぐ事が出来ない。
東堂の操るデーケルターレの刀はヴィロネカートの首筋にあてがわれたまま、動く事が出来なかった。
ヴィロネカートはにぃっと笑ったかと思うと再びその赤く鋭利な舌をデーケルターレに向かって伸ばした。
東堂
「!」
キュインッ!<SE>
風を切りデーケルターレの右腕に舌が突き刺さる。
ザシュウゥッ!<SE>

<いやあああああああああああああああああ!>
東堂
「純ーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

<ああああ!ああああ!あああああああ!>
純の断末魔の叫び。東堂は何が正しいのか、最早判断する事すら出来なかった。ただただ痛む両腕に力を込め、かろうじて未だ体と繋がっている右腕の握りしめる刀に意識を集めた。
東堂
「有宮…!尾ヶ崎…!」