少女機械人形コーパス 第二幕
皆・純
<<きゃあああああああああああああ!!>>
東堂
「ぐぅっ!皆!純!」
妹達の叫び声に反応し、目を見開き体制を立て直そうとする。
<<ひどいなぁ、僕の時はそんなに頑張ってくれてたっけ?>>
頭上から有宮ひかりの声が響く。
立ち上がろうとしたその四肢から力が抜けていく。
その様子を見てにやりと笑ったヴィロネカートの口から飛び出し
た真っ赤な舌が、鋭利な刃物のように変質し倒れこんだままのデーケルターレの左腕を貫いた。
東堂
「!」
鋭利な痛みが走ったかと思うと、次の瞬間ヴィロネカートの舌は
デーケルターレの左腕を貫いたまま、その口へと戻りごくんと音を鳴らして飲み込んだ。
皆・純
<<ぎゃあああああああああああああ!!>>
東堂
「があああああああああああああ!!」
引きちぎられた左腕の痛みに意識すら飛びそうになる。
いや、もしもコアがダメージの大半を吸収していなければ彼の意識は容易に喪失していたに違いない。
東堂
「皆…純!」
純
<皆?!皆―!!>
皆の声は聞こえない。
純
<お兄ちゃん!皆の腕が…皆の腕がぁっ!!>
悲痛に満ちた叫びがコクピット内にこだました。
東堂
「く…そぉっ!」
東堂は号泣していた。全身がガタガタと震えた。
しかしそれでも残った右腕に力を込め、もう一度刀を握りしめるとヴィロネカートにその刃を向ける。
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文