少女機械人形コーパス 第二幕
東堂
「…まさ…か…。」
???
<<お兄ちゃぁんっ!>>
東堂
「その…声……!」
???
<<お兄ちゃぁんっ!なんなのこれぇ…怖いよー!>>
東堂
「そんな…まさか…皆…純…なの…か…。」
皆・純
<<お兄ちゃぁん!うわぁあぁぁん!>>
東堂
「約束が違う!」
激高しコクピット内に拳を振り下ろす。
ガゥンガゥンガゥンッ!<SE>
コクピット内を叩く音が辺りを支配する。
東堂
「くっそぉぉぉぉ!」
東堂
「俺は…俺は何のために…今まで!」
皆・純
<<お兄ちゃん?>>
東堂
「っ!」
絶望する東堂の目前にヴィロネカートが迫っていた。
『楔の悪魔』の腹部から生まれたそのヴィロネカートは、頭部の肥大した人間のような姿だった。
ただ、その両手は備わっていなかったが。
東堂
「チクショウッ!」
咄嗟にその身を反転しヴィロネカートとの距離を取る。
肥大したヴィロネカートの頭部の中に尾ヶ崎の知性が詰まっているような気さえして、吐き気が起こる。
東堂
「ノーダメージだ!」
それでも彼は自分に言い聞かせるかのように吐き捨て、力強くモビリスレバーを押しだした。
東堂
「ノーダメージで終わらせてやる!」
言うなり刀を水平に掲げ、ヴィロネカートとの距離を縮める。
ドゥンドゥンドゥンッ<SEロボ走音>
皆・純
<<お兄ちゃん?>>
妹達の声が脳に響く。
東堂
(死のうとしていた俺が…傷一つなく戦闘を終えようとしているなんて…)
東堂
(なんてザマだ!)
皆・純
<<お兄ちゃん!>>
東堂
「大丈夫だ、皆、純。」
言い聞かせるように、だが優しく言い放つとデーケルターレの腕は風を薙ぎ、素早くヴィロネカートを一閃した。
ブシュゥゥゥウッ!<SE>
派手な血しぶきを上げヴィロネカートは大きく体制を崩した。
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文