少女機械人形コーパス 第二幕
同日
午後06時40分
コーパス 懲罰房
左文字
「君か…。」
土方
「報告に来ました。」
左文字
「報告?…よう子の事か。」
土方
「巳上主任は至ってお元気です。やはり子供ですわね、順応が早くて助かります。」
左文字
「そうか…。それなら良いんだ。」
土方
「…えぇ、左文字さんが心配することなど何もありません。それと、ご報告したい事がもう一つ。」
左文字
「何だ?」
土方
「新しいパイロットが2名決定されました。」
左文字
「俺には関係の無い事だ。」
土方
「内1名はコアの中身を知っています。」
左文字
「な…っ。」
土方
「誰が吹き込んだのか、それは私にも分かりません。ですが」
左文字
「ちょっと待て、土方!お前は…お前はコアの中身を知って…。」
土方
「…知ってますわ。何もかも。」
左文字
「…!!」
土方
「恨まれますか、私を。」
左文字
「……っ。」
土方
「何も知らないままコアになった巳上主任。全てを知りながら組織に所属しつづける私。」
左文字
「……。」
土方
「あなたが憐れむのはどちらですか、左文字さん。」
左文字
「……君だよ、土方参謀長。」
土方
「ふふっ、そう仰ると思いました。でもあなたを助けられるのは、全てを知っている私…彼女じゃない。」
左文字
「俺は…っ!」
土方
「私に助けられるのは屈辱ですか?。」
左文字
「……。」
土方
「ふふっ。でもあなたは私に縋るしか無いんです。今のあなたでは。」
左文字
「……。」
土方
「何かを成し遂げようと思えば、それは知ることから始まりますわ。」
左文字
「…。」
土方
「あなたは何も知らなかった。だから敗北した。けれど私はそんなあなたをこそ愛しく思います。」
左文字
「こんな状況でなければ、君ほどの美人に言われるなら悪い気もしなかったんだがな。」
土方
「ふふふっ。」
左文字
「一つ忠告しておくよ、土方参謀長。」
土方
「何でしょう?」
左文字
「確かに君は俺の事も、コーパスという組織の事もよく知っているようだ。
だがな、人間っていうのは自分の背中は見れないもんだぜ。」
土方
「あら、その為に鏡があるんじゃありませんの。」
左文字
「鏡に映るものは果たして本当に真実かな。」
土方
「ふふっ。女は鏡ばかりを見て生きていますのよ。たとえそれが真実じゃなくとも、脳で補正する術を少女の頃から知っていますわ。」
左文字
「なるほど。」
土方
「ふふふふっ。」
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文