少女機械人形コーパス 第二幕
第二幕 第二場 Qui me amat, amet et canem meum.
2月15日
午後06時20分
コーパス シュミレーションルーム
尾ヶ崎
「お疲れ様です。本日の訓練は全て終了しました。」
花立
「お疲れー。」
尾ヶ崎
「大丈夫ですか?顔色がすぐれませんけど。」
花立
「んー、大丈夫よ。」
尾ヶ崎
「それなら良いのですが…東堂くんも未だ回復してませんし、花立さんに掛かる負担が大きくなってますから。」
花立
「そりゃバレンタインもなーんにも無くって、毎日毎日訓練訓練訓練…。」
尾ヶ崎
「………。」
花立
「あー、お休みが欲しいっ!」
尾ヶ崎
「花立さん…。」
花立
「コーパスの居住区ってなーんか馴染まないのよねー。やっぱ私にはCエリアの方が故郷っていうか。ま、ホントの故郷はドロドロに腐っちゃったワケなんだけど。」
尾ヶ崎
「…私もCエリア出身ですから、分かるような気がします。」
花立
「色んな事言う大人も多いけどさ。自由で優しくて、私はあの場所が好きなのよ。」
尾ヶ崎
「自由で優しくて…ふふっ、まるで花立さんみたいですね。」
花立
「優しいには同意するけど、自由ってどーゆー意味よー。」
尾ヶ崎
「あっ、いえそんなっ。悪い意味じゃないんですよ!」
花立
「当たり前よ。私なんか全然自由なんかじゃないわよー。だから毎日こーして訓練にも出向いてさー。」
ウィィィン<SE>扉開閉
土方
「愚痴はその辺でいいかしら?」
花立
「うわっ!聞いてたんですか参謀長!」
土方
「あれだけ大きな声で騒いでれば。」
花立
「えー、そんな大きな声出してたつもりないんですけどー。…地獄耳(ボソッ)。」
土方
「何か?」
花立
「コワッ!なんでもないでぇっす☆」
土方
「なら結構。」
尾ヶ崎
(ホント…こういう所、自由ですよね。)
花立
「東堂の容態はどうなんですか?」
土方
「大分と落ち着いてきているわ。けれどまだ暫くは休養が必要でしょう。」
花立
「えー、私も休養が必要なんだけどなー。」
土方
「……。」
花立
「…思いません?」
土方
「確かに。顔色も悪いみたいだし、いいわ。」
花立
「え?」
土方
「東堂くんは3日間の間、Cエリアの自室で療養してもらう事になっているから。あなたも3日間東堂くんのサポートという名目でCエリアでの休養を認めます。」
花立
「え?」
土方
「何か?」
花立
「えーー!ホントに?うわぁ、言ってみるもんねぇ〜。」
尾ヶ崎
「良かったですね!花立さん!」
土方
「あなたにも会いたい人とかいるでしょう?3日間、無駄にしないようにね。」
花立
「いわれずとも♪」
土方
「さ、それじゃあもう上がっていいわよ。」
花立
「はぁーい!それじゃ、失礼しまっす。」
ウィィィン<SE>
土方
「全く…ゲンキンな子ね。」
尾ヶ崎
「うふふ、でも楽しそう。」
土方
(さて…しっかり仲良しごっこしてらっしゃいよ、天才さん。)
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文