少女機械人形コーパス 第二幕
同日
午後05時11分
コーパス 医務室
尾ヶ崎
「落ち着いたみたいで良かったわ…。」
東堂
「…おかげさまで。」
尾ヶ崎
「東堂くん…?」
東堂
「……。」
尾ヶ崎
「怒ってるの?」
東堂
「別に。参謀に怒りを向けても意味が無い事ですから。」
尾ヶ崎
「参謀…か。」
東堂
「………。」
尾ヶ崎
「昔みたいには呼んでくれないの?」
東堂
「………。」
尾ヶ崎
「当たり前…ですよね。仕事…なのに。」
東堂
「………。」
尾ヶ崎
「ふふっ。でも昔は楽しかったです。皆ちゃんや純ちゃんにまた会いたいな。」
東堂
「会いに行ったらいいじゃないですか。あいつらも喜びますよ。」
尾ヶ崎
「ええ、近いうちに行けると良いんですけど。」
東堂
「………。」
尾ヶ崎
「色々、忙しくて。…左文字参謀長の頃は、もう少し融通がきいたんですけどね。」
東堂
「左文字?」
尾ヶ崎
「はい、土方参謀長の前任の方です。」
東堂
「今は…?」
尾ヶ崎
「……色々。本当に色んな事があって…。私には分からないことばかりで、どうしてあの時あんな…。」
東堂
「尾ヶ崎…参謀?」
尾ヶ崎
「ふふっ、可笑しいですよね。私はマヌスに逃げてきてからずっと…ずっと知識を求めてきました。全てを奪ったヴィロネカートの事が知りたくて。世界の仕組みを理解したくて。」
東堂
「………。」
尾ヶ崎
「なのに、結局私には何も分からない。」
東堂
「……。」
尾ヶ崎
「間違いなく、何かがおかしいのに。」
東堂
「…っ。」
尾ヶ崎
(左文字参謀長なら、こんな時…何て言ってくれたんだろう。)
尾ヶ崎
(私は…どうすれば分かるんだろうか。)
第一場 幕
作品名:少女機械人形コーパス 第二幕 作家名:有馬音文