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少女機械人形コーパス 第二幕

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同日
午後11時28分
地底都市マヌス 第4通路

花立
「はぁっ はぁっ はぁっ 」
タッタッタッタ
<SE走音>
黎苑由加里専用ピアノホール前

ポロン ポロン ポロン<とぎれとぎれなピアノ音>

ウィィィン<SE>

花立
「由加里!」

室内に入るなり花立は大声で親友の名を呼んだ。
しかし花立が来た事にすら黎苑由加里は気付いてはいないようだった。
花立
「そんな…本当だったの?ニュースであなたの耳が…」
花立
(聞こえなくなったって。)
よろよろとした足取りで花立は徐々に黎苑の元へと歩みを進める。
手の届きそうな距離まで近付いたその時、ようやく彼女は気配を察し鍵盤から手を放し、その端正な顔をあげた。
黎苑
「美希…。」
花立
「由加里っ!」
黎苑
「ピアノの音…聞こえなくなっちゃった。」
花立
「由加里!由加里!」
黎苑
「泣いてるの…?美希。」
花立
「どうして…どうしてこんな!何があったっていうのよっ!」
黎苑
「?…ごめんね、あなたの声も聞こえないの。」
花立
「!」
黎苑
「大好きだったのに…ピアノの音なんかより…ずっとずっと…美希の声の方が、大好きだったのに。」
花立
「由加里ぃ!」
黎苑
「あなたは私の光。」
花立
「うっうっ…あ…!」
<スチル花立・黎苑抱きしめ>
黎苑
(ヴィロネカート…私は守ったわ、美希を。)
黎苑
(そうよ。お前の言う通りに私は醜い人間で、あの日の私は全て計算していた。)
黎苑
(それでも…人は変わるのよ。化け物のお前には分からないでしょうけど、私は…。
私の為に本当に美希がピアノを止めてしまったあの日からずっと…。)
黎苑
(美希の影になるって決めたのだから。)
黎苑
(美希の為なら私は…。音を捨てる事くらい、何てことないのよ。)


第五場 幕