小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

夏風吹いて秋風の晴れ

INDEX|89ページ/94ページ|

次のページ前のページ
 

車がきれいに仕上がって


「直美さーん、劉さーん」
直美が大きな声を出したとにすぐに玄関から弓子ちゃんの大きな声がこっちに向かって聞こえてきていた。
「なーにぃ」
直美が立ち上がりながら笑顔で答えていた。
「終わったんですけど、どうかなぁーって 見てもらえませんかぁー 綺麗になったと思うんですけどぉー すいませーん」
「うん、いまいくねー 待っててー」
言いながら直美に腕をとられていた。あわてて立ち上がって外に向かって歩き出し始めた直美の続いていた。
玄関には、弓子ちゃんと純ちゃんがこっちに向かって待っていた。
「綺麗になった?」
玄関にたどり着いて直美が弓子ちゃんにだった。
「ワックスを拭いて、綺麗になったと思うんですけど、どっか忘れてることあいかなぁーって、見てください」
「うん」
弓子ちゃんと直美の会話を聞きながら、俺も靴をはきながら、そこに、にこにこ笑顔をふりまいて立っていた純ちゃんの頭を撫でてから手を引いていた。そして4人で外に歩きだしていた。

「どうですか?」
「うん、綺麗だねー がんばったね。二人とも」
直美が車の周りをぐるっと弓子ちゃんと一緒に歩きながらだった。
それは、俺が見てもよく晴れた秋空の太陽にしたで、ピカピカと輝いていた。もともと手入れのよかった車だったけど、いっそう、それは輝いて見えていた。
「どこかやり残してるところないですか?直美さん?」
「うーん、大丈夫よ。すごいよー あっ、劉、どっか気になるところある?」
振り返った直美に聞かれていた。
「いやー。完璧でしょ。あとは片付ければいいでしょ。さっ、やっちゃおう」
言いながら片隅に置かれたいたバケツを手にしていた。
頭の中には、もうすぐ帰ってきそうな叔父のことが浮かんでいた。ここまで、弓子ちゃんと純ちゃんががんばったんだから、車の周りも綺麗にして叔父が驚く顔を見てみたかった。
「はぃ」
弓子ちゃんが返事をして、車を拭いた布を片付けて、直美もそれを手伝っていた。
「純ちゃん、おかーさん呼んできて?車きれいになったから見にきてね、って行ってきてできる?」
あいかわらずのにこにこ顔の純ちゃんに声をかけていた。
「うん、できる。よんでくる」
きちんとこっちの顔をみながらの元気な返事が返ってきていた。
純ちゃんの後ろ姿を目で追うと、玄関を開けるなり、大きな声を家の中に向かってだhしていた。
「おかーさん」
しっかりとした声だった。もちろん彼女の口から出ていた言葉は「叔母さん」ではなく「おかーさん」だった。思わず直美の顔を見ると、直美もこっちを見ながらうれしそうだったし、弓子ちゃんも一緒にうれしそうな恥ずかしそうな顔だった。3人できっといい顔のはずだった。
「なーに、純ちゃん?」
歩きながらこっちに向かってきている叔母の声があけられた玄関からこっちに聞こえていた。
「車、終わったの。みてね」
純ちゃんが一生懸命説明をしていた。
「そう、大変だったね、がんばったのね」
叔母が返事をしながら純ちゃんの手を握って、俺たちの前にだった。
「がんばったわねー 弓子ちゃん。喜ぶわよ、きっと」
「なんだか、夢中になっちゃって・・・でも、楽しかったぁ」
「そう、きれいになってるわよ」
「純ちゃんも手伝ってくれたから・・」
「そう」
叔母が手を引いていた純ちゃんを見ながらうれしそうに返事をしていた。

「あっ、劉」
いきなり声をだして、直美が近づいてきていた。
そして耳元で話しかけられていた。
「叔父さん、もうすぐ帰ってくるから、全員でここで待ってたらいいよね」
「そっか、でも、それって 俺もってこと?」
「ううん、私たちは遠慮して、叔母さんでしょ、弓子ちゃんとそれに純ちゃんの3人でね」
「そうか、そうする?」
「うん。わたしが言うね」
はっきりと直美が言うと、振り返って、車の周りに立っていた叔母と弓子ちゃんと純ちゃんに向かって話しかけ始めた。
「えっとですね、さっきも、ちょっとでしゃばったかなぁーっ思ってるんですけど、もう、ついでなんで、もう一つ提案があります。もうすぐ、叔父さんが帰ってきますって電話ありましたから、ここで 3人でお迎えして、叔父さんが帰ってきたら、全員で「おとーさん、おかえりなさい」って言ってください。わたしと劉は、家の中にいますから。ねっ、いいでしょ?叔母さん?弓子ちゃんできるよね。純ちゃんも出来るよね?叔父さんびっくりよ、ねっ」
叔母は、口元を緩めて小さな笑顔を俺と直美に向けていた。
「弓子ちゃん、返事は?」
直美が、弓子ちゃんにだった。
「うーん。はぃ」
純ちゃんもできるよね、おとーさんって言えるよね?」
「うん。言えるよ」
「そっか、じゃあ、決まりね」
得意の、決まりねって台詞を言いながら俺の顔をみうれしそうだった。
「では、おまかせしまーす。劉いこう。弓子ちゃんよろしく」
手を取られて歩き出した直美と一緒に家の中に向かっていた。歩きながら叔母の顔をみると、うれしそうな困ったわぁーっていうような、直美ちゃんったらって顔だった。
玄関で靴を脱いであがりこむと直美が、
「また おせっかいだったね」
って言ってきていた。
「いい考えだとおもうけど。でも、これで叔父さんがなかなか帰ってこなかったら 困っちゃうけどね」
「やだぁー 大丈夫だしょ。もうすぐだよね」
「うん。大丈夫だって、きっと」
「よかったぁー」
その直美の顔はいつもながらかわいい顔だった。今日も大好きな直美のだった。
「あっー 帰ってきたかも・・」
車が洋館の前に止まる音がかすかに聞こえていた。
俺も直美も顔を思わず見合っていた。聞き耳をたてて、息を止めながらだった。

作品名:夏風吹いて秋風の晴れ 作家名:森脇劉生