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夏風吹いて秋風の晴れ

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叔父に聞いていた


叔父と俺と直美と3人でってことは、けっこうめずらしいってことを考えながら、食事と酒を酌み交わしていた。
話は、もちろん新しく始まった叔父さんの家のことが中心で、直美がいろんな事を叔父に聞いていたけど、それに叔父は恥ずかしそうに、でも、うれしそうに答えていた。
思ったより、順調そうだった。叔父の言葉を借りれば、純ちゃんも一緒だったのが良かったようだった。

「あれ、直美ちゃん、ここにしてるの、どうした?めずらしいな・・・今日ははずしてるのか・・」
叔父がだいぶご機嫌になって、自分の首の場所を指して、直美に聞いていた。もちろんいつも直美の首に輝いていたネックレスのことだった。
「えっ、あっ、忘れちゃった・・」
直美は一瞬驚いた表情をしていたけど、とっさにウソをついていた。
「めずらしいな、初めてじゃないか・・外してるのなんて初めて見たようなきがするなぁー」
「そうですか、でも、たまには外してますよ」
「そうかぁー まぁー 毎日会ってるわけではないからな・・でも、いつもさがってるような記憶だったから・・」
赤い顔で叔父が考えながらだった。
「そうですか・・」
直美が首をちょっと横にかたむけて返事をしていた。
別に直美もそんなに気にしていたことではないんだろうけど、きちんと叔母に返すまでは、叔父には内緒にするようだった。
「さて、そろそろどうだ、おなかはいっぱいか?直美ちゃん?」
「はぃ、もうお腹いっぱいです。ごちそうさまです」
「そか、よかった。じゃあ、帰るか?劉」
俺に相槌を求めていた。まだ10時を過ぎたばかりだった。前の叔父なら、まだまだって時間だろうに、やっぱり、弓子ちゃんたちが来てからは、うすうすは感じていたけど、めっきり帰りが早いようだった。
「あっ、叔父さん聞いていいですか?」
直美がだった。
「なんだ?」
「えっと、叔母さんからもらったのって・・叔父さんとつき合ってた時もしたたんですか?あのネックレスって・・・」
「あぁー よくしてたなぁ・・でも、俺が新しいのを買ってあげてから外したんだろ、それからはしなかったかな・・・」
「へぇー いつプレゼントしたんですか?いま、おばさんが良くしてるのですよね?すごーい綺麗ですよね」
直美がうれしそうに聞いていた。
「そうか、うーん、貯金はたいて買ったからな、まあ、時期は俺にじゃなくあいつに聞いてくれよ・・」
叔父がうれしそうな顔で、言い返していた。
「えぇっー いいじゃないですかぁー 教えてくださいよぉー」
「いや、あいつに聞いてくれよ、勘弁してくれ」
叔父は手を顔の前で小さく左右に振って答えていた。
「そっかぁー じゃあ 叔母さんに聞いてみようっと・・楽しみだなぁー どんな風だったか詳しくきいちゃいますよ?いいですか?」
「まいったなぁー」
まいったって言ったわりには叔父の顔はものすごくうれしそうだった。当時を思い出しているようだった。
「さぁー 帰ろう、もういいだろ」
言いながらもう立ち上がっていた。
それを見た直美はおれを見ていたずらっこのように笑っていた。
やっぱり、直美の首に見なられた綺麗な十字架がないのが俺には寂しかった。はやくしなきゃって思っていた。

ご機嫌な叔父は店をでて右に家に向かっていた。俺たち二人は、それをしばらく眺めてから、左に向かって歩き出していた、直美の乗ってきた自転車を俺が押して、直美がそれに続いていた。
「ねぇ、どんな時に叔父さんプレゼントしたんだろ・・プロポーズかなぁ・・それとも少し付き合いだした誕生日かなぁ・・ねぇ、どう思う?」
「えっ、そうだなぁー わかんないけど、でも、きっといい話聞けるかもよ?叔母さんから・・・」
「うん、そうだねー 楽しみだなぁー」
「でも、叔母さんも正直に言うかどうかは・・わかんないかも・・・」
「うううん、叔母さんは、そういうのきちんと話してくれるもん、いままでも、そうだったよ。いろんな話をわたしに、してくれたし・・劉の小さい時の話も、たくさんしてくれたよ。劉を養子に欲しかったって話もきちんと聞いたもの・・・でも、そうならなくて良かったって叔母さんに言っちゃった。だって、そうしてたら、劉と会えなかったもん。うん、良かったって」
言い終わって腕をとられていた。
会えて良かったって、俺もいっぱい思っていた。
直美の顔を見ていた。
ほんとに久しぶりに路上で直美のおでこにキスをしていた。
俺の腕に伝わる直美の手が、きちんと俺に返事をしていた。

作品名:夏風吹いて秋風の晴れ 作家名:森脇劉生