【第十回】飛ぶ計画
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
「次! 右ッ!!;」
阿修羅が言うと緊那羅が右の通路に入った
「おおおおおいいちゃああんも走れるよ」
阿修羅の小脇で鳥倶婆迦が言う
「今はだーっとれッ!!;」
阿修羅が怒鳴ると緊那羅がプッと小さく噴出した
「何か楽しそうやんねぇ; 緊那羅」
緊那羅を見て阿修羅が言う
「そのセリフ前に京助も阿修羅と同じように言った事あるんだっちゃ」
緊那羅が笑いながら言った
「ほけほーけ…; でも今はそれどころじゃなかんきに;」
阿修羅が走りながら言う
「うん; ごめんだっちゃ;」
緊那羅が謝ると二人して走る速度を上げた
「…右を見て~左を見ても~…知らん顔~…」
京助が橋の欄干に座ってゆっくりと左右を見て呟いた
「…まいっちんぐ;」
深く溜息をついた京助の隣に誰かが座ったらしい気配がした
「…何見てんだよ」
視線を感じた京助が顔を上げ隣にいた人物に言った
「アンタから変な感じするんだよな」
何色にも見える中途半端な髪を適当に束ねたっぽい髪に桃色の球がついた髪飾りがキラリと光った
「…ココのヤツじゃないだろ」
言われて京助が驚き目を見開いた
「な…」
「安心していいって俺は何もしないよ。あ、俺はマホって呼んでくれていいから」
【マホ】というらしき人物が無理矢理京助の手を掴むなり握手といわんばかりにブンブンと上下に振った
「退屈なこの頃に刺激を求めてるんだよな俺」
京助の手を握ったままマホが笑う
「で?」
手を握られたまま京助が聞き返す
「困ってるみたいだけど」
マホが言う
「迷子なんだろ」
マホの言葉に京助が顔をそらした
「わかりやすいなー! 面白いじゃん」
カラカラ笑いでマホが言う
「決めた! 俺が助けてやろうではないか」
そう言って立ち上がったマホは京助より頭一つ分背が高かった
「さぁ! どこに行きたいんだ?」
顔をずいっと近づけてマホが聞いてきた