【第十回】飛ぶ計画
「お前の想いの強さが云々って言ってた」
お守りを握って京助が言う
「戸が見えれば連れて行くって乾闥婆が言って…そしたら戸も見えて京助にソレが出たんだよな」
中島が言うと南と坂田も頷く
「かるらん…」
「んはいらんといっているだろう!; …感情の高ぶりだな…落ち着けばおそらく消えるだろう」
「感情~?;」
迦楼羅が言うと京助が口の端をあげた
「感情が一時的に上昇したことで竜の力も一時的に現れたということです」
乾闥婆が補足説明をつけると迦楼羅が横で頷いた
「ってか今までも何だかんだ怒り狂ったりしてたけど…こんなん出ませんでしたが;」
京助が羽根を動かした
「…【時】が迫っているからと考えてもおかしくはない…明確ではないがな」
迦楼羅が口にした【時】という言葉に摩訶不思議服集団が表情を曇らせた
「…【時】ねぇ…俺にはよくわからないけど…とにかく帰らない?」
重苦しい空気に耐えられなくなったのか南が言った
「ソレ賛成」
坂田が挙手する
「あ、の前に…」
阿修羅が帰ろう帰ろう言っている一同に向かって声をかけた
「…はいよ」
中島が阿修羅の元に歩み寄った
「…仕方ないな;」
迦楼羅も溜息を吐きながら阿修羅に向かって足を進めた
「先に行っててくりゃれん」
迦楼羅を右に中島を左に連れて阿修羅が一同を見送った