【第十回】飛ぶ計画
ギィという音にゆっくりと顔を上げたのはヨシコ
「…あっくん? 今日の課題おわったでしょ?」
あの露出の高い格好ではなく落ち着きのある格好でヨシコが扉を開けた阿修羅に歩み寄った
「そうだな~…課題は終わった…からご褒美」
阿修羅がニーっと笑った
「ご褒美?」
ヨシコが首をかしげると同時に開いた窓
「何…」
いきなり入り込んできた風にヨシコが顔を向けた
「ゆー…」
「その呼び方はやめろ;」
迦楼羅に両手をつかまれた中島が窓辺に足をかけた
「…!?; どうして!? どうしてゆーちゃんがここにいるの!?; そうよ!! どうして!?;」
ヨシコが阿修羅の胸倉を掴んでガクガク揺すった
「言ったろが~; ご褒美」
揺すられながら阿修羅が言う
「な…んで…」
ヨシコが阿修羅の胸倉からは手を離さずゆっくりと窓を振り返った
「…元気か」
何故か照れながら中島が言う
「…元気に見える?」
ヨシコが俯いたまま返した
「わかんねぇから聞いたんじゃん;」
中島が言う
「…むかつくわ…っ…」
阿修羅の方に向きを変えたヨシコが呟いた
「そろそろ離れなければまた厄介なことになる; 行くぞ」
迦楼羅が羽根を広げた
「…またな」
中島のその言葉にヨシコがバッと振り向いた
長く垂れた布が風に靡いていた
「…あっくん…」
阿修羅がヨシコの頭を撫でた
「私…苦しいわ…」
ヨシコの声が震えていた