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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回】飛ぶ計画

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「あれ…?;」
南の声に一同が足を止めた
「どうした? 南」
中島が聞くと南が何もいわずに上を指差した
「上?」
坂田が上を見ると残りの面々も上を見た

「おりょ?」
「どうしたの?」
阿修羅が変な声を出し鳥倶婆迦がどうしたのか聞いた
「あれって…でっかいのとちっこいのとメガネとワンコの片割れと…」
阿修羅がまじまじと下を見てそんなまさかこんなところにという言葉を上げていく
「…だっぱ…」
そして最後に言った言葉で迦楼羅がバッと下を見た
「何であいつ等がコッチにいるんやん~?;」
阿修羅が言う
「でも京助がいないね」
鳥倶婆迦も下を見て言った

「鳥…さんだね…ってけんちゃ--------ん!!?;」
タッと駆け出した乾闥婆を3馬鹿とゴが追いかける

「…見つかった見たいだっちゃね…;」
「おいちゃんの計算ではおとなしく降りた方がいいと思う」
「オライもばかに同感」
緊那羅と鳥倶婆迦そして阿修羅が迦楼羅を見上げた
「…っ;」
迦楼羅の顔が引きつった

乾闥婆が人通りの少ない裏路地に入り耳の飾りを障ったかと思うと一瞬にしていつもの乾闥婆の格好になりそしてタンッと地面を蹴り飛び上がった
「飛んだ!!;」
追いかけてきた坂田が声を上げた
「けんちゃんが飛んだ! けんちゃんが…ゲハッゴハッ;」
運動神経皆無の南が息を切らせて走ってきてそういったかと思うと思い切り咽る
「血の雨が降るんだやな」
ゴが上を見上げてどことなくワクワクした口調で言った

「…なぁ」
京助がマホを引きつった顔で見た
「…なんだコレ;」
バサッと音を立てて大きく広がったのはさっきまで半透明で小さかったであろう京助の背中の羽根っぽいモノ
「俺が聞きたいんだけど」
マホがヤレヤレをいうカンジで言う
「俺とうとう人外魔境?;」
京助が顔を引くつらせた
「まぁ…それが原因なのは明らかだな」
マホが指差したのは京助の手の中のお守り
「コレ…か?;」
京助がお守りをマジマジと見た後マホを見る
「というか…ソレをくれたヤツが原因だろうな…よっぽど力が強いんだろうな」
マホが腰に手を当てて笑う
「でもコイツ自分が弱いからってアソコに帰ったんだ…俺に何も言わねぇでさ~…だからムカついて一発」
京助が言いながら腕をスイングさせる
「力っても想いの力だ」
マホがウィンクした
「んでお前もそいつに会いたいっていう想いがあるんだろう? だからじゃないのか?」
「…まぁ…会ってひっぱたきたい…しな」
京助がモゴモゴと言う
「想いってのも力の一つじゃないか?」
マホが京助の胸を人差し指で軽く突付いた
「想いの強さが力になってる…俺はそう思う」
にっこりとマホが笑った
「…すげぇんじゃん…アイツの力って…俺を人外にしちまうんだから」
京助が背中の今は誰が見ても羽根と答えるモノを軽く羽ばたかせた
「いやお前の想いも込みだから」
マホが言う
「俺の?」
京助が言った
「そう…まぁ双方の思いの力の形?」
マホが羽根を撫でた
「空に道はないからな俺はココでお役目ごめんになるな」
マホが京助に笑いかけながら羽根から手を離す
「…そういやあのなんだか人の悪い方々はドコいったんですか?;」
京助がハタと思い出してマホに聞く
「あ~…逃げてった?」
何故かマホが疑問系で答えると京助が微妙に納得した
「…ありがとな」
京助が間を置いて笑って言う
「いい顔するなお前…本当気に入った」
マホも笑った
「また会えるといいけどな」
「だな」
京助が羽根を開いた
「俺との練習が無駄にならなかったな」
マホが広げられた羽根を見て言う
「…そういややったっけなそんなこと」
忘れていた京助が言った
「相手によろしくな」
マホがヒラヒラと手を振る
「おう!!」
笑った京助の顔が羽根に隠れてそして風が巻き起こった

作品名:【第十回】飛ぶ計画 作家名:島原あゆむ