【第十回】飛ぶ計画
右の足の指がヌルヌルする頭ががんがんする
「…ぅあ…」
喉から声が出た
「…ッ;」
頭と足に走った痛みに一度は起こしていた体をまた地面につけた
背中に固い地面の感触を感じながら京助はうっすらと目を開けた
「…変な空」
七色にも透明にも何色にも捕らえられる上に広がる…自分達の世界では空があるところに広がるソレを見て京助が呟いた
「…この大空にー翼を広げーとんで~ゆきた~い~よ~…ってかぁ…はぁ~ぁ;」
ボソボソと歌った京助が最後に溜息をついた
「…なんで俺こんなトコで寝てんだ…いや殴られて…」
京助が自分に聞いて自分で答えた
「マホだか…言うのが…」
ズキズキする頭で記憶を引っ張る
「…俺どうなんだろ…」
しばらく間を置いて京助が呟く
「…なんでこう…一人になると独り言が増えるんでしょーねー…アッハー」
変な空を見上げて京助が一人で話し始めた
「いや~…このまま戻れなかったらどうなるンザマショ俺…」
ぐぅ
短めに腹の虫が鳴いた
「…鳥類みたいに飛べたらな~…っても俺には羽根…あるじゃん」
はたと背中にある羽根っぽい物の存在を思い出して京助が指を鳴らした
「お礼は?」
ふっと影がかぶさったかと思うと黒い紐の先についていた玉がコンっと京助のデコに当たった
「…アリガトゴザマス…?;」
笑顔で影を作ったマホに京助がわけもわからずお礼を言った
「いやいいんだ~退屈しのげたし? やっぱお前のこと気にいた俺」
そういって笑いながらマホが手を差し出した
「マホって…言ったっけお前」
京助がマホの手につかまりながら聞いた
「そう俺はマホ」
京助の手を引っ張りながらマホが答えた
「この羽根みたいなヤツ…飛べると思うか?」
頭を押えて立ち上がった京助がマホに聞く
「それは俺に聞かれても」
マホが片手をヤレヤレというカンジであげた
「飛んだことは?」
マホが聞くと京助が首を横に振った
「いきなり生えてたんだし;コレ」
京助が羽根っぽいものを見ようと体をねじった
「いきなり…ってなんでまた」
マホが京助の後ろに回った
「何かきっかけとかなかったのか?」
チョイチョイと羽根っぽいものを突付きながらマホが聞く
「…きっかけ…かぁ…」
京助が羽根っぽいものが現れたところまで少ない脳みそから記憶を引っ張り出す
「…きっかけ…」
呟きながら京助が何気にポケットに手を突っ込んだ
「…キッカケ…きっかけ…」
そして取り出したのは
「なにそれ」
透明な板に挟まれた桜色の花びら
「…コレくれたヤツを一発引っ叩きたくてさ」
京助が取り出したお守りをマホに見せた
「それで宮に行くのか?」
マホが聞く
「何でもそこにいるっちゅーんだけどさぁ…; はぐれて」
京助が口の端をあげて言う
「あ~…迷子だって言ってたもんな」
マホが頷きながら言った後顔を上げて止まった