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なっちょん
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novelistID. 25113
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蒼刃

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 同時に斎藤は飛び下がり、刃を向けて武田の最期を待つ。

 武田は、二歩よろめいて倒れ、暫く痙攣し、そのまま動かなくなった。

 彼が倒れた場は、銭取橋には一歩足らぬ所であり、斎藤は少し哀れに思ったのか、一言掛ける。

「武田さん、今までの働き、ご苦労さま」

 そして、刀を懐紙でぬぐいながら斎藤は、篠原に向いて自らの袖を見せた。

「新のを出したのに、汚してしまった。こういう所は総司に及ばんな」

 近づいてまじまじと見ると、羽織りの袖に、小さな赤い斑点が幾つか付いている。

 篠原は軽く唇を噛みながら斎藤を見、何事か言葉を探すが出てこない。仕方なく、質問で返す。
 
作品名:蒼刃 作家名:なっちょん