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なっちょん
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novelistID. 25113
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蒼刃

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「いや、いいさ」

 呑気そうに言って、鯉口を切り、備前伝は無銘の古刀、深反り二尺六寸を抜いた。

 余りにも自然に、音も無く抜いた為か、武田も、篠原でさえも虚を突かれて後じさる。

「貴様!?」

「ご託宣は結構。始めましょうや」

 穏やかに言った斎藤に遅れ、武田は山城伝らしき、品の良い古刀二尺三寸五分を引き抜く。

 しかし慌てて抜いた為か、豪華な朱鞘が軋んで悲鳴を上げた。

 沖田ならばこの鞘音だけで、相手に興味を無くすかな?と、斎藤は心内で思い、笑った。

「何を笑っているのだ、斎藤!?」

 問いには答えず、斎藤は切っ先を向ける。
 
作品名:蒼刃 作家名:なっちょん