ぼくと・・・
「それでまことはどうしたいの?」
「どうって?」
「うーん。走る選手を辞めたい?それとも・・」
「ぼく、走りたいんだよ」
なんとも力強い息子の言葉におかあさんは込み上げるものを感じたが、今は涙など見せてはいけないと、我慢した。
「だから、ぼく練習してるんだけど、ミチコちゃんもヒロシくんも一回で走れちゃうから、ぼくはいつも置いていかれてしまう。誰も一緒に走ってくれないの」
「まちこ先生は?」
「みんなのことがあるし、ぼく、まちこ先生を驚かせたいんだ。だからナイショがいいの」
「ふーん。まちこ先生のこと好きなんだ」
まことくんからやっと笑みが零れた。
「じゃあ、頑張ってみようか。オーー」
その夜、おかあさんは考えた。
だが、考えたけれどどうしていいものか?考えあぐねた。