第三章二話
そんな時にあいつは俺の前に現れた。
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「ねぇねぇ、僕の名前は若林源五郎って言うんだ。場所は住之江。君は?」
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ふざけるな!
お気楽なあいつの声は耳障りだ!
きっとあいつは何にも知らないんだ。
敵と戦う怖さも。
敵に追いかけられる怖さも。
友を失う怖さも。
友が死のうとする姿を見た怖さも。
自分が狂った友を殺そうとする時の怖さも。
全て知らないからあんなにのうのうとしてられるんだ!
俺はあいつが憎くて憎くて仕方がなかった。
それと同じくらいあいつが羨ましかった。