時間泥棒
いつ時間を盗られるのかひやひやしたけれど、今日は何事もなく普通の時間の経過を味わった。
「ねぇ、大野って木谷くんに興味あるの?」
川崎さんが尋ねてきた。悪い意味でどきっとした。
絶対説明してもわからないと思ったので、私は控えめに否定をした。
すると、トイレに一緒にいこうといわれた。
周りから見たらただの連れションだ。でも私はきつく目を閉じる。
ああ、殴られるんだな。
無感情だけでなく、無神経にもなりたかった。傷つけることも傷つけられることも厭わしく思わない人間になりたかった。
でも、そうなったら本当に人間やめることになっちゃうんだね。