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時間泥棒

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私は川崎さんからいじめを受けている。「いじめ」なんて表現、自分にあてはめてほしくなかったけれどしょうがない。弱者であることに変わりないのだから。
川崎さんは出席番号順で座ったときに後ろにいた子で、元親友だった。仲良くしていた頃は「ナオ」と呼んでいた。でも、もう苗字で呼ぶことしか許されなくなった。
彼女たちの手口は実に巧妙である。表向きは私たちをとても仲の良い楽しい女子グループに見せる。
しかし、遊び先のおごりはいつも私で、時々気まぐれに無視されて、何のツールを使ってるのかは知らないが朝まで悪口や出会い系のメールを送りつけられた。
何故こうなったかはわからない。
それはあまりにも複雑な設定があって、役があって、目を凝らさないとわからない関係図で。
女子というのはそういうものなのか。私が何か悪いことをしたのか。
言われて見ればでしゃばったような気がするし、言われて見れば他の子より空気が読めなかった気がするし、言われなくても自分の欠点ばかり、目がついた。
自分が悪いような気がした。
そして時々興味本位でグループに入ろうとした女の子たちは、みんなこの遊びを命じられた。
やがてそれは女子みんなに広まった。だから、きっと私が悪かったのだ。
確かに、死にたいと思った日もあった。あるいは、毎日死にたかったのかもしれない。
朝が来るのを恐れていたのかもしれない。
無感情になろうとした理由がそれだった。
作品名:時間泥棒 作家名:夕暮本舗