時間泥棒
学校で居眠りをしているわけじゃない。ノートはいつもきっちりとってある。
眠るより、ずっと短い、ほんのまばたきだけで不自然な時間の流れ方をするのだ。
そう、まるでタイムとリップのような。
そのため、私は自分の時間にしがみついていようと思った。
誰かに吸い取られないように。私の人生を守るために。
そして、内心嘲笑った。生きるのを諦めたくせに、何が守るだ。
しかし、少しでも気を緩ませるとあっという間に時間が流れる。もう「あっ」なんて言ってる暇もないほどだ。
私の気づかないうちにクラスメイトの川崎さんたちが「昨日の数学が」とか「先週の遠足が」などと言っているのを聞くと、頭がおかしくなりそうだった。
そんなとき、また私の時間は盗られた。