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てっしゅう
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「忘れられない」 第八章 諦めない

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有紀は明雄の口から思いがけない言葉を聴いた。二人で過ごしたあの夜の事は嘘だったのか・・・ずっと離さないって誓ったのは嘘だったのか・・・借金を返すために身体を犠牲にしてまで働いてきた事は、誰のためだったのか・・・

身体の中から怒りに似た感情が煮えたぎってきた。こんな気持ちは生まれて初めてだった。明雄の顔を見るとその感情はピークに達し、次の瞬間、有紀の右手は明雄の頬を強く打った。
「パチン!」と甲高い音が響いて、一瞬の静寂が来た。きょとんとした顔になった明雄を見て、

「大嫌い!そんな明雄さんなんて・・・もうどうなっても知らない」言い終えると聞こえるような声を上げて泣き出した。明雄は戸惑った。平手打ちにもそうだったが、泣きじゃくる有紀をどうなだめようか、考え付かなかったからである。