フートン
ゆうは おかあさんのあしおとで めがさめた。
ぼくはもう フートンなんだから おきなくていいんだ。
よかったよかった。
でも、おかあさんは 「ああ、いそがしい、いそがしい」といいながら ぼくをたたむと おしいれの中に おしこんだ。
とびらがしまって 中はくらくなった。
(せまいよう くらいよう)
もう いえの中にはだれもいない。
ゆうは しだいに こころぼそくなった。
(ああ こんなことなら ふとんになんかになるんじゃなかった)
なみだがでてきた。
(ああ きゅうしょくも たべられない)
ゆうは なきつかれて いつしかねむってしまった。