フートン
ゆうは おかあさんのこえで めがさめた。
いいにおいがする。ああシロップのにおいだ。ホットケーキかな。
ぼくといれかわったフートンが おいしい! とおおきなこえをだした。
おかあさんが わらった。
ゆうは かなしくなって またないてしまった。
フートンが へやにはいってきて おしいれのとびらをあけた。
「やあ、きぶんは どう?」
ゆうは なきがおのままで 「よくないやい!」とおこっていった。
「そうかぁ ざんねんだったねえ。ぼくたちも べんきょうがなければ このままでもいいんだけどね。もとにもどる?」
すこし にやにやしたかおで フートンがいう。
「もどる いますぐもどして! ふとんなんかいやだ!」
ゆうが きがついたとき おしいれのまえにたっていた。
ああ、よかった もとにもどれた。
ゆうは すこしぬれてしまったふとんを なでてから しずかに おしいれのとびらをしめた。
おしまい