顔のない花嫁
三人分のカススを購入してアレンが歩いていると先ほどレイス達と別れた階段の前に人だかりが出来ていた。
きっと誰かが足を滑らせて階段から落ちてしまったのだろう。
皆口ぐちに「大丈夫ですか?」と口にしている。
他人事のように思いながら近づいていると、突如人々の輪の中からマリアの叫び声が聞こえた。
彼女が叫ぶ名前を聞いてアレンの顔が凍りつく。
「レイスさんッ!レイスさん大丈夫ですか!?しっかりしてくださいッ!」
アレンはカススを放り出して駆け出した。
近づいていくと、輪の中心で頭部から血を流して倒れるレイスをマリアが抱きかかえていた。
マリアは見守る人々の群れに叫ぶ。
「誰かッ……!早く救護団の人を……ッ!」