顔のない花嫁
クリスとの間に思わぬ共通点を見つけたアレン。
やはりあの出会いは運命だったのだ。
あの場では告白することが出来なかったけれど、“運命”で繋がっているのだ、いつでも告白くらい出来る。
アレンは幸福感に包まれていた。
「……それで、その女の人が運命の人だって?」
アレンの報告を聞いて不機嫌そうにコーヒーを口に運ぶマリア。
やはり夕食時に家に戻らなかったのがひどく癇に障るらしい。
アレンがうなづくと彼女は勢いよくカップをテーブルに叩きつけた。
バリン。
音を立てて砕け散るカップ。
尖った破片は周囲に散乱し、中のコーヒーはテーブルにぶちまけられた。
反射的にびくりとするアレン。
そんなアレンを睨みつけながらマリアは席を立ってどこかに行ってしまった。
「……」
アレンにはマリアの行動がさっぱり理解出来なかった。
どうしてあそこまで怒るんだ?
一人ポツンとリビングに残されるアレン。
その時、時計が音を鳴らし時刻の移り変わりを告げた。