顔のない花嫁
The 16th loop
突如目に飛び込んでくる眩い光。
アレンは反射的に顔をしかめ、再び布団にくるまった。
「だーめお兄ちゃん。もう朝だよ」
そう言うとマリアはベットの上で丸くなるアレンから布団を引きはがした。
「うぅ……」
不満気に唸りながらアレンはベッドから起き上がった。
ゴシゴシと目を擦る。
「どう?目が覚めた?」
悪戯っぽく笑うマリア。
「うん。多分ね」
皮肉っぽく言ってやるアレン。
「そりゃ良かった。もうすぐ朝食作るから準備出来たら下りて来てね」
アレンの皮肉に言い返す様に言うとマリアは階段を下りて行った。
「……ふわぁー」
大きく欠伸をしながらアレンは洗面台に向かった。
ピッシリと目を覚まさせるために冷たい水を顔にぶっかける。
……ふぅ、これで目が覚めた。
アレンは鏡の中の自分を見つめパシパシと頬を叩いた。
っ……と、そこでアレンは奇妙なことを思い出した。
それは昨夜見た夢のこと。
気が付くと自分は真っ白な教会にいて、見知らぬ女―いや、本当は知っているのだろうけど―と結婚式を挙げている。
分かるのは、微かに覚えている彼女の名前だけ。
*リス。
最初の一文字だけが思い出せない。
一体彼女は何者なんだ?
モヤモヤとする頭のまま、アレンはリビングへ下りて行った。