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てっしゅう
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「新シルバーからの恋」 第六章 お見合い

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「解かった。伸子、世の中ってどこで繋がっているのか解からないって言う話しなのよ。美雪さんの同級生の高城さんはね6月に結婚する恵子の旦那さんなの」
「えっ!それ本当なの?」
「本当なの。その高城さんにね美雪があることを話したの」
「剛司のことよね?」
「違うの・・・徹くんに夫のことを相談したって言うこと。それから恵子が聞いて私が知るようになったの」
「なるほど・・・そうね、昔の好きな人に再会したんだものね。また逢いたいって言うことになったんじゃないの?」
「伸子さん、その時は先輩とても親切に相談に乗ってくれたんです。なんだか、嬉しくて・・・夫が居るのにまた逢いたいって思いました」
「そうなっちゃうのよね・・・美雪さんも心のどこかで徹くんのことが忘れられなかったのね。だから会って話をしてたら好きになってしまったのね」
「はい、仰るとおりです。悦子さんが先輩のこと好きだったことも知っていました。先輩が悦子さんとその・・・関係があったって聞かされた時、嫉妬しました。でも、色々お話を聞いていたら、自分も所詮は遊び相手なんだと知って・・・」
「うんうん、そうよ。男なんてカッコいい事言うけど、所詮奥さんが大事なの。美雪さん悦子との二股で悩んだのね。徹くんがどちらを取るかは明らかだったけど・・・」
「伸子!それどういう意味?」
「ゴメン・・・だってそうでしょ?あなたには厳しいかも知れないけど」
「解かっているわよ、私は二度目に逢ってもう逢わないって決めたの。そのことを美雪さんと話した。仲良くなったからね」

ピンポーン、とインターホンが鳴った。
「はい、どちらさまですか?」
「俺だよ伸子、開けてくれ」
それは夫の剛司の声だった。

「どうしたの?仕事は」
「忘れ物したんだよ。大事なもの。コピーした原本を机の上において出かけてしまったから・・・あれ、美雪じゃないか?どうしたんだよ」
「久しぶりですね。この度は奥様にご契約を戴きましてありがとうございました」
「なんだ?そうか保険の外交員やっているんだな。悦子とは何故一緒なんだ?」
「はい、私どもの窓口になっておりますから」
「嫌な言い方だなあ・・・もう完全に他人か?」
「そうですよ。奥様はここに居られるじゃないですか」
「そりゃそうだけど・・・まあいいや、時間無いから俺は行くけど、変な事伸子に言うなよ美雪」
「あなた、美雪じゃなくて美雪さんって言いなさいね。それに変なことって何?」
「いいから・・・じゃ行ってくる」

急いで剛司は出て行った。赤いアルファロメオが独特のエンジン音を響かせて去って行く。

「美雪さんごめんなさいね。剛司に気分悪くしたでしょ?」
「気になさらないで下さい」
「悦子はもう徹くんの事なんとも思ってないの?」
「思ってないわよ。昔の思い出まで消されてしまったし」
「どういう事?それ」
「うん、詳しくは話せないの・・・それだけ印象を悪くしたっていう事。徹くんに対してね」
「そうか・・・深く傷ついたのね。ご主人とは上手く行ってるの?」
「おかげさまで。そういう事があって見直したの。主人もねお友達の奥様が浮気されてて、何か反省するような態度に変ったから、今はウソのように仲良くしているのよ」
「ほんとう!それは良かったじゃない。じゃあ次は美雪さんが幸せにならなくちゃね」
「ありがとうございます。でも、しばらくは恋はいいです。仕事頑張らないといけませんし、夢がありますから」

独立したい夢を美雪は語った。伸子は感心して聞いていた。夫の剛司はこんな魅力的な美雪のことを何故嫌いになってしまったのか疑問に感じていた。

仕事中だからあまり長居は出来ないので、そろそろ戻ると言って二人は伸子の家を出た。

「美雪、剛司くんと会ってちょっとドキッとしたんじゃない?」
「そんなことないですよお姉さん。伸子さんってしっかりなされているから、あの人とは相性がいいって感じました。私は自分がふらふらしているからいい加減な人はダメなんです。頼れる人が好き。でも、今は仕事優先だから相手探しは後回しです」
「そう言っていたわね。でも、チャンスは急にやってくるからそのタイミングを逃さないことよ。仕事を続けられる相手を探せたら付き合えばいいのよ、遠慮せずに」
「はい、そう心得ます。お昼どうします?商店街のどこかで食べてゆきましょうか?」
「そうね、そうしましょう」

銀行に戻って仕事を終えてから、いつものように守口駅まで帰ってきた。お弁当に持ってゆくおかずが切れていたから少し歩いてスーパーに寄って買い物をした。出口のところで買い物用の台車を整理している徹に出会った。

「徹くん!・・・ここで仕事しているの?」
「悦子か・・・ああ、先月でクビになったからとりあえず募集していたここでパートをしているよ。なかなかこの歳になると仕事がないからなあ。今帰りか?」
「うん、そうなの・・・大変ね。頑張って・・・じゃあ」
「ああ、ありがとう。お前も頑張れよ」

なんだか見てはいけないものを見てしまったような感覚に襲われた。そこに居た徹はもう昔のお洒落な姿ではなかったし、輝きも無くしていた。きっともう浮気なんかしない・・・いや、出来ないようになってしまっただろう。悦子は考えた。この姿の徹と再会してお互いの気持ちを通じ合っていたら・・・どうなっていたのだろうかって。

家路に就く気分は重たかった。自分のことをもてあそんだ徹だったが、いまは許せる気持ちに変わっていた。


「ただいま〜」
「お帰り」
スーパーで買い物したバッグをテーブルに置いて、先に着替えを済ませて、冷蔵庫に買ったものを入れた。

「悦子!済んだらこっちへ来いよ。ちょっと話しがあるから」
夫の順次はそう声を掛けた。
「はい、直ぐに行きますから・・・」

悦子は何の話だろうか考え付かなかった。

「あなた、何ですの?お話しって。お食事の支度しないといけませんから、手短にお願いね」
「まあ、座れよ。簡単に言うから。ご飯は遅くなっても構わないし。この前遅くなった時にお前を送ってきてくれた人、なんと言ったけ?」
「美雪さん?のこと」
「そうそう、その人。独身だったよな?たしか、離婚したばかりだって聞いた気がする」
「そうよ、3月にしたばっかり。それが何か気になるの?」
「俺じゃないよ。ほら、亡くなった妻が浮気していたって話ししただろう?その時の同僚が再婚相手を探したいって言うんだよ。ここへ来て急に寂しくなったみたいで」
「まさか、あなた・・・美雪さんをその方のお相手にって考えてらっしゃるの?」
「いや、思いついた女性が美雪さんだったから、どうかなあって言っただけなんだけど、まずかったかな・・・」
「その同僚の方がどのような方かは存じませんが、今は彼女仕事の資格を取ることで頑張っているから、再婚は考えてないと思いますよ」
「資格?」
「社会保険労務士ですよ。独立したい夢があるらしいから」
「ほう、それはたくましいな。彼ならきっと力になれるぞ。一度話だけでも聞いてみてくれないか?今すぐに交際って考えなくても、将来を見据えて話し合ってゆければお互いに必要と感じるようになるかも知れないしね」